群馬県内では173年ぶりとなる金環日食が2012年5月21日(月)の朝におきることから、ぐんま天文台では朝6時から金環日食観察会を開きました。平日の早朝にもかかわらず496名のお客様とぐんまちゃんが来館。7時34分すぎに金環日食が始まると、日食グラスや投影板を使って環のような太陽が見えるようになり、歓声があがりました。
金環日食となる時刻が近づき、太陽が大きく欠けた状態になると、周囲の景色がやや暗くなりました。曇り空のような明るさですが、曇りの日とは違って陽射しがあり物の影もはっきり見えます。陽射しが弱まったため、少し肌寒く感じる人もいました。このような状態でも太陽はたいへんまぶしく、直視しても形は分かりません。観察には日食グラスや投影器具などが必要です。
観測広場では小型望遠鏡を使って太陽像の投影を行いました。少し離れた位置に置いた掲示板へ投影することで、大きな像が見られました。太陽像はとても鮮明で、太陽があまり欠けていない時には黒点もはっきりと観察できました。
日食グラスを持参して観察される方も数多くいらっしゃいました。天文台での日食グラスの販売は、前日の正午に売り切れのため終了していました。望遠鏡を使った投影のように太陽を大きく見ることはできませんが、ピンホールを使った投影よりは鮮明に見えたようです。
厚紙に開けた針穴(ピンホール)を使って、太陽の像を写した様子です。「群馬県一斉日食観測ネットワーク」で学校に配布した「ピンホール式日食投影しおり」を使いました。画像は金環日食終了直後のものです。
ピンホールによる観察方法を応用し、団扇に穴で文字を書いて太陽の像を投影されたお客様もいらっしゃいました。投影像の文字をつくる光ひとつひとつが、欠けた太陽の形をしています。このほか、前日と前々日のイベントで作成した観察器具を持参されている方もいらっしゃいました。
木漏れ日を観察すると、欠けた太陽の形がたくさん映って見えます。植物の葉や枝の隙間がピンホールの役割をするためです。
本館太陽望遠鏡スペースでは、普段から公開している太陽望遠鏡による直径1メートルの投影像を観察しました。混雑した場合に備え、投影像をビデオカメラで撮影し展示室の壁面にも投影していました。